インバウンドマーケティング完全ガイド

by 町田 龍馬 on 2011年11月28日

 

あなたには、訪問販売が自宅やオフィスに押しかけてきたという経験はあるだろうか?販売員達のしつこいまでの一方的な押しには、まいったという人もいるかもしれない。筆者個人としては、あのようなセールスのやり方がどうも好きになれない。不愉快なだけでなく、効果的だと感じられないからだ。

 

では、どんなセールス戦略が効果的なのか?その答えは、インバウンドマーケティング(別名コンテンツマーケティング)だ。インバウンドマーケティングとは、有益な情報を無料で提供することで、見込み顧客との関係を築き上げ、最終的にセールスへとつなげていくマーケティング戦略だ。

セールスの向上を目指すならば、今や米国を初め、世界中のWebマーケティングの主流となりつつあるインバウンドマーケティングについて学び、よく理解する必要がある。そこで今回は、インバウンドマーケティングの基礎と活用法を簡単に紹介したいと思う。

 

Zen Startupではこれまでに何度か、インバウンドマーケティングのセミナーやワークショップを開催しており、SlideShareに資料も載せてあるので、ぜひチェックしていただきたい。(「インバウンドマーケティングの極意」セミナー&ワークショップのご報告


インバウンドマーケティングとは

インバウンドマーケティングのポイントは、「押し付けるのではなく、惹きつける」という点にある。スモールビジネスにとって、セールスを展開する上での大きな問題は、知名度が低いということだ。あなたが長年のネット住民で、名の知れたソーシャルメディアユーザーでもない限り、誰もあなたのことを知らないのは当然のことだ。

 

インバウンドマーケティングを活用することで、その状況を打破できる。長期的に上質のコンテンツを提供することで、人目に触れる機会が増え、そこからオーディエンスとの信頼関係も生まれてくる。つまりあなたの商品を宣伝してくれるファンが増える。

 

インバウンドマーケティングには、どのような媒体が適切なのか?

 

  • ブログ – ブログは管理作業がとても簡単で、主流のコンテンツ配信媒体といえる。その分、競争が激しい。ブログでは、時には“型破り”なスタイルを持つことも大切だ。できるだけユニークなブログにするために、あえて強い意見をいうのもありだ。

 

  • ポッドキャスト – 話し上手な人は、自分の好きなことや得意分野を題材にして、ポッドキャストを始めてみてはどうだろう?質の高いポッドキャストをコンスタントに配信できれば、「Duct Tape Marketing」や「Six Pixels of Separation」 のような成功を収めることも可能だ。プロっぽくするためには、マイクの音質が最も重要。USBケーブル接続できるマイクで、数千円のものをおすすめする。

 

  • 動画 – ワインショップの米Wine Libraryが、同社の動画ブログ「Wine Library TV」をインバウンドマーケティングとして活用し、ビジネスの規模を10倍以上に拡大させたという話がある。日本でもゲイリーに感化された、22歳の女の子が「あっちんTV」という動画ブログをスタートした。意外と知られていないが、動画共有サイト「YouTube」は、Googleに次ぐ世界第2位の検索エンジンだ。先週のブログ記事「動画マーケティングを成功に導く秘訣」でも紹介した通り、動画コンテンツは、ビジネスの知名度を上げる上で、非常に効果的な手段である。

 

インバウンドマーケティング成功例

BlendTeckの創設者、Tom Dickinsonは、製品の宣伝として、iPhoneを同社自慢のミキサーにかけ、その様子をYouTubeに公開した。その結果、動画は大反響を呼び、シリーズ化されることになった。Tomがあらゆるものをミキサーにかけていくという動画シリーズは話題となり、消費者はBlendtechのミキサーがどれだけ優れているかということを学ぶことになった。

 

BlendTechは、インバウンドマーケティングを活用し、製品の知名度を一気に高め、同時に製品の品質を証明することに成功している。しかも、コストがそれほど掛からない、シンプルな方法でやってのけた。これが、インバウンドマーケティングの効果だ。

 

セールスの前に必ずしておくこと

筆者には、訪問販売や街中の勧誘販売など、見知らぬ人からモノを購入した経験がない。基本的に、信用できて好感を持てる人から購入したいと思っているからだ。同じ意見の消費者も多いのではないだろうか。インバウンドマーケティングは、「この人から購入したい」と思わせるような信頼関係を先に築き上げることを目標としている。

 

インバウンドマーケティングの基本は、明確で説得力のあるコンテンツを提供することにある。コンテンツの内容は、大きく「基礎コンテンツ」と「パーソナルコンテンツ」の2種類に分けて考えることができる:

 

  • 基礎コンテンツ – 読者に提供する情報は、ほとんどがこの基礎コンテンツになる。あなたのビジネスのテーマだ。SEO専門なら、SEOに関するコンテンツを書き、グラフィックデザイナーであれば、グラフィックデザインに関連したコンテンツを提供する。Zen Startupはインバウンドマーケティングの専門なので、それに関連したトピックを選択している(ブログサイドバーのカテゴリーを参照)。

 

  • パーソナルコンテンツ – 読者のほとんどは、専門的な知識を得るために、コンテンツにアクセスする。しかし、専門性とは関係ない、個人的なコンテンツのシェアすることも大切だ。筆者の個人的な体験などを共有することで、読者達との関係をより深めることができる。時には、議論を呼ぶようなコンテンツを提供するのも、注目を集めるのに効果的だ。

繰り返しになるが、セールスを前面に押し出すようなコンテンツは避けた方がよい。読者が離れていく一番の原因となる。インバウンドマーケティングは、信頼関係を築いてから、初めてその効果が表れるものだ。まずは、質の高いコンテンツを提供し、自分の存在や主張を知ってもらう必要がある。そして、読者との絆を十分に築いてからこそ、セールスに期待ができる。

セールスを獲得するための土台作り

読者を惹きつけたからといって、すぐにセールスにつなげようとしてはだめだ。何かとモノを売りつけようとする、インチキ商人のように振舞ってはいけない。 まずは、コンテンツを使って信用の土台を築き、将来のセールスにつなげていく下準備が必要だ。

 

土台作りのポイント

 

  • 苦情に対応 – あなたのサービスや製品へ向けられる可能性のある苦情や質問に対する答えを、事前にコンテンツに記載しておく。この方法で、購入者の不安心理を、初期段階で取り除くことができる。30日間返金保証など米国でよくあるテクニックだ。

 

  • ストーリーを提供する – 一般の読者は、製品やサービスの説明文よりも、ストーリーを好んで読む。また、推薦やレビューといった、実際の顧客からの体験談などをコンテンツとして共有するのもよい。

 

  • 読者の力になる – 読者が直面する問題に手を差し伸べることで、信用を積み上げていく。読者の問題を、どのようにして知ればよいか?コンテンツを通して直接尋ねてみよう。

読者を実際の顧客に変えるには、あなたの存在を知ってもらい、信用を勝ち取っていくしかない。効果的にインバウンドマーケティングを行うことで、それが実現する。

インバウンドマーケティングの要点

コンテンツを作成する際、1つの明確な目標を常に意識する。その目標とは、読者から承認を得る、ということだ。インバウンドマーケティングの成否は、eメールやRSSによる購読者数に大きく左右される。よって、購読登録のプロセスは、読者にとってシンプルな作業でなくてはならない。

 

Zen Startupページで恐縮だが購読登録フォームを見て欲しい:

成功するインバウンドマーケティングとは、どれだけ多くの読者を獲得し、つながりを深めていけるかということだ。インバウンドマーケティングは、訪問販売のように一度販売して終わり、といった淡白な関係ではない。顧客との長期的な付き合いこそが重要となる。

「80対20」ルールで効果的にコンテンツを作成

インバウンドマーケティングの計画を立てるに当たり、1つ心に留めて欲しいことがある。マーケティング作業は、大部分が“読者のため”にあるということだ。製品の宣伝は、残りの余った時間で間に合わせる。

 

これを、「80対20」ルールと呼ぶ。80%の時間を、読者の利益のため、読者との交流を深めるために費やす。そして、残りの20%を、製品の宣伝などに利用する。読者の有益な情報の作成には、80%と書いたが、実際には90%ぐらい費やす気持ちでいいだろう。

 

より多くの時間を読者との交流に費やす事で、彼らのニーズが自然と把握できるようになる。読者のニーズをさらに深く理解できた時、どの製品をどの読者に勧めるべきかおのずと見えてくるはずだ。

ステップメールの活用

インバウンドマーケティングにおいて、ステップメール(メールマガジン自動配信)は非常に有効なツールとなる。ステップメールとは、あらかじめ用意された複数のメールを、スケジュールに沿って購読者に順次配信するシステムだ。言い方を変えれば、1000人目の購読者に、1番目の購読者と同じ体験を提供することができるということだ。

 

ステップメールの最大の利点は、自動で仕事をこなしてくれるというところにある。病気のときや休暇中でも、自動配信機能があなたの代わりに仕事をしてくれるだろう。ここで、効果的なステップメールの秘策を9ポイント紹介しよう:

  1. ステップメール用の 優れたコンテンツを作成する – ステップメール配信には、質の高いコンテンツを使用する。読者に最高の第一印象を与えることが最大の目的だ。読者の心を掴むには、最初の2,3回のメールは、他では得られない有益な内容のコンテンツを提供する。
  2.  自己紹介と感謝の気持ちを述べる – ステップメールでコンテンツを配信する際は、購読者への感謝のメッセージを付け加えることを忘れずに。
  3.  メール購読者に対して正直に接する- あなたのステップメールが、「最新コンテンツ」だと偽るのは、いいアイデアではない。いくつかのeメールプロバイダーでは、常にメールの日付を最新に保つ機能を提供している。個人的には、この方法は少し無理があると思う。大切なことは、信頼関係を築き上げることであって、このような些細な行為がすべてを台無しにする可能性もある。
  4. フィードバックを呼びかける – ステップメールで配信するすべてのメールで、積極的に読者からの質問やコメントなどを募集する。読者の意見に関心があるという姿勢を見せることが大切だ。読者と交流する機会が増えるほど、絆はより深まっていく。
  5. メールの返信は自分自身で行う – 読者との信頼関係を築くため、読者からのメールには、素早く対応しなくてはならない。読者への返信には、気持ちのこもった内容を送る。
  6. 送信元の欄に社名ではなく本名を入力する – 読者と親密な関係を築きたいのであれば、「送信元」には本名を用いるのが最も効果的だ。
  7. スパムワードに必要以上に気を取られない – スパムフィルターが察知するあからさまなキーワードの使用は、極力避けるようにしたほうが良い。だからといって、必要以上に内容を崩さないように。購読者のために書いているのであって、スパムフィルターのためではない。
  8. 読者をランディングページへと誘導する – もし、メールの内容が長めのものであれば、適当なところでリンクなどを用い、読者をあなたのページへと誘導する。メールが長文の場合、スパムフィルターが、フラグを立てる可能性があるからだ。
  9. 7番目のメールの法則 – 読者にセールスを促す場合、最低でも7回目のメール以降にする。有益なコンテンツを事前に提供しておくことで、コンバージョン率は大幅にアップするだろう。

まとめ

ブログやソーシャルメディアを安価で活用できる現在、インバウンドマーケティングは、まさに新時代のマーケティング方法だ。セールスを促す前に、見込み顧客が求めるコンテンツを、長期に渡り無料で提供することで、その効果を発揮する。重要なことは、世間にあなたの存在を認識してもらい、信用を勝ち取ることだ。インバウンドマーケティングを適切に運用すれば、ビジネスの知名度は上昇し、さらなる成長へとつながっていくだろう。

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町田 龍馬

著者プロフィール

25歳 起業家。米国向けにFacebook解析ツールを「ZenMetrics」を開発しながら、NetConcierge.jpのインバウンドマーケティングとFANCAM.comの日本進出を支援(http://t.co/DX58UjKS)。過去に倖田來未FANCAMと学研カレンダーアプリの企画/ディレクション、マイクロソフトのコンサル。モットーは「海外経験者や起業家精神を持った人を増やして日本を元気にする」

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