Dellに学ぶ、ソーシャルメディアの収益化

by 町田 龍馬 on 2011年9月28日

大手パソコンメーカーの米Dell が、かつてのカスタマーサポートの悪評を払拭するように、SNSでのマーケティングに力を入れている。Dellの先進的なソーシャルメディア戦略について取り上げているので紹介しよう。

 

「Dell Hell(Dell地獄)」という言葉はご存知だろうか?2005年、当時の人気ブロガーJeff Davisは、Dellが運営するカスタマーサポートの対応が悪かったという理由で、自身のブログに苦情を書きつづった。その結果、 キーワード「Dell」でGoogle検索すると、検索結果の上位に「Dell Hell」という記事が表示されるようになり、Dellの評判を一気に下落させる事態にまで発展した。

Dell、復活への軌跡

それから約6年、Dellはその悪夢から立ち直っただけでなく、ソーシャルメディアから収益を生み出す見本企業といわれるまでに成長を遂げた。現在Dellは、同社のTwitterアカウント「@Delloutlet」から、157万人を超えるフォロワーたちに向けてディスカウント情報を告知するなど、ソーシャルメディアを巧みに利用して収益を上げている。

 

さらに、中国市場への参入にも大成功し、中国国内で最も普及したソーシャルメディア「RenRen」上で、最も人気のある企業とされ、同サイトに80万人のファンを抱える存在となった。そのソーシャルメディアでの堅固なプレゼンスは、世界中で40以上のFacebook企業ページを管理すると同時に、何千人ものDellの社員たちが、Twitterを通して企業を後押しすることで成り立っている。

 

Damien Cummingsは、Dellのオンライン/ソーシャルメディア部門のアジア太平洋地区代表を務める。今回、同氏は、香港で開催された検索エンジンに関するカンファレンス「SES HK 2011」で、ソーシャルメディアの収益化とマーケティング方法について、自らの成功例を基に熱弁をふるった。Damienのスピーチを参考にしながら、Dellのソーシャルメディア戦略の核心に触れていこう。

Dellのソーシャルメディア戦略

 Damienによると、Dellが用いた主なソーシャルメディア戦略は、コンテンツの充実と消費者の声に耳を傾けることだったという。この戦略の実践にあたり、Dellは膨大な資力を投じ、米テキサス州オースティンに、「Social Media Listening Command Center」を設立した。これは、ソーシャルメディア上で繰り広げられるDell関連の話題を収集・解析する施設で、1日に2万5000件以上のソーシャルメディア投稿をモニタリングしているという。

 

インド、豪州、中国、日本といったアジア太平洋地区の重要性が増してきたことから、Dellは2011年9月に、上述のCenterと同様の施設をインドにも開設した。さらに、中国へも、今後6カ月以内に設立する計画だ。将来的には、シンガポールかマレーシアに、アジア地区のソーシャルメディア・モニタリング施設の本拠地を構えるという。

ソーシャルコマースサイト「Dell Swarm

近年、米Grouponや米LivingSocialが、共同購入サービスという「ソーシャルコマース」を普及させた。Dellはこのソーシャルコマースというコンセプトをいち早く採用していたという。同社は、2009年5月に、共同購入サイト「Dell Swarm」をシンガポールで立ち上げた。その後、サイトの改良と共に、カナダ、豪州、英国へと展開し、今後は中国や日本、東南アジア諸国といったアジアへの進出を計画している。

 

さらに、DellはFacebookコマースにも乗り出した。Damienの見方では、Facebookは商取引の場ではなく、友人との交流の場として使われる傾向が強いという。製品の販売に傾倒するよりも、評価やレビューといったユーザー発信のコンテンツをいかに獲得するかが、事業成功へのカギになるとみている。

社員がソーシャルメディアを使えるように育成

Dellの社員は、企業の一員としてソーシャルメディアを利用するにあたり、独自のカリキュラムから成る育成プログラムへの参加を義務付けられている。10万人にも及ぶ社員を教育することは、簡単な作業ではない。人的資源が必要になるだけでなく、ロジスティックな面でも困難が大きい。なんとDellでは、たった2人きりのチームが、育成プログラムの全面管理を担当しているという。現時点(2011年9月現在)では、約9000人の社員たちが、プログラム課程を終え、ソーシャルメディア広報員として活躍中だ。

 

Damienは、「ソーシャルメディアに関する企業ポリシーを設定することは、非常に重要だ」と語る。Dell社員の権利や責任の範疇は、すべてこのポリシーが基準になるようだ。しかし、この育成プログラムは、決して社員を“Dellロボット”として育成するためのものではない。その目的は、機密情報の管理や、投稿情報の透明性・正確性の確保など、Dellの一員としてソーシャルメディアを使用する上での規律を明確にするためのものだ。

ソーシャルメディアを収益につなげる秘訣

ソーシャルメディアを企業の収益につなげる秘訣とは、一体何だろうか?Damienは次のように締めくくった。

「すべては、消費者の声に傾聴することから始まる。まず顧客の要望を理解しなくてはならない。効果的なマーケティングは、先進的なアイデアから生まれるといわれるが、そんなことはない。とにかく耳を傾けて、顧客の関心事を把握することが重要だ」。

 

「ソーシャルメディアを、CRM(顧客管理)の手段として活用するべき。顧客とのつながりを深めるには、顧客と効果的に接する方法を熟考しなくてはならない。ユーザーが満足できるコンテンツを提供し、ビジネスの向上につなげていく必要がある」。

 

あなたの会社ではソーシャルメディアを収益につなげるために、どんな工夫をしていますか?その工夫や、この記事の感想など、コメント欄より教えていただきたい。

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町田 龍馬

著者プロフィール

25歳 起業家。米国向けにFacebook解析ツールを「ZenMetrics」を開発しながら、NetConcierge.jpのインバウンドマーケティングとFANCAM.comの日本進出を支援(http://t.co/DX58UjKS)。過去に倖田來未FANCAMと学研カレンダーアプリの企画/ディレクション、マイクロソフトのコンサル。モットーは「海外経験者や起業家精神を持った人を増やして日本を元気にする」

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