Wal-Martがeコマース改革、Walmart.comのトップは交代

by 宗像 淳 on 2011年8月22日

Wal-Martを去ったRaul Vazquez氏(Internet Retailer Magazineより)

スーパーマーケット世界最大手の米Wal-mart Storesが、eコマース部門のてこ入れに乗り出した。同社が先日発表した改革案の中で、特にeコマースに関する改善計画について、eコマースに関するニュース・サイト「Internet Retailer Magazine」が取り上げているので、紹介しよう。

<以下、Internet Retailer Magazine記事より一部を紹介>

Wal-Martは、eコマース部門の運営を各実店舗の経営幹部の管理下に置くことを決定し、eコマース部門の経営幹部2人のWal-Mart退社をあわせて発表した。従来は、副社長のEduardo Castro-Wright氏が、eコマース部門をグローバルで統轄していたが、今後は世界各地域の実店舗の直轄とすることで、eコマースのローカル化、スピード化を目指す。

具体的には、すでに小売市場で同社がプレゼンスを確立している米国、カナダ、英国、日本といった先進国のeコマース部門は、今後、それぞれの地域の実店舗が運営していく。一方で、Wal-Martブランドが十分に浸透していない中国やインド、南アメリカなどでは、2010年上旬に設立したグローバルeコマース部門が、これらの国でのeコマースを運営していく。

今回の改革は、顧客が実店舗とオンライン店舗を簡単に行き来できるようにすることが目的という。「先進国市場において当社のブランドと実店舗は確実に定着している。消費者は実店舗とオンライン店舗との間に統一性を求めている。買い物をする際に、マルチチャネルによる価格や品ぞろえ、在庫の比較ができるようなシームレスな環境を望んでいる」(Wal-Martの発表資料)。

Walmart.comの幹部交代

今回の改革に伴い、eコマース部門の経営幹部だったRaul Vazquez氏とSteve Nave氏の2人がWal-Martを去ることになった。グローバルeコマース・チームの市場開拓部門代表を務めたVazquez氏は、北米向けのオンライン店舗「Walmart.com」の前CEOを務めていた。Nave氏は、Walmart.comのシニア・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーだった。Wal-Martによると、2人とも自主退職を希望したようだ。

Wal-Martは、Walmart.comの新しい経営トップに、Joel Anderson氏を任命した。同氏は、4年前にWal-Martに入社し、北部プレーンズ地域のシニア・バイスプレジデントを務めてきた。今後は、Wal-mart U.Sの社長兼CEOであるBill Simon氏の下で手腕を発揮する。Anderson氏はWal-Martに移籍する以前に、北米のeコマース業界ランキング『TOP 500 GUIDE』で29位につけたToys ‘R’ Us のeコマース部門を指揮してきた(ちなみに、このガイドでWal-Martは6位)。また、ベビー用品を扱うBabies“R”Usのeコマース・サイトの責任者を務めるなど、eコマース分野に精通している。

ライバルAmazonを追撃

今回のeコマース部門の改革は、オンライン事業の強化の一環として行われた。例を挙げると、2011年春、Wal-Martは米Kosmixの買収を発表した。Kosmixは、「Twitter」の投稿などソーシャル・ネットワーク上のデータを検索、分析する企業だ。KosmixのチームはWal-Martの新部門「@WalmartLabs」に加わり、ソーシャル/モバイル・コマースの開発に従事している(TechCrunchの記事)。

シカゴの小売業コンサルティング会社、米Okamura Consultingの専務取締役であるJim Okamura氏は、今回の改革は、eコマース世界最大手のAmazon.com追撃を視野に入れたものだと解説する。今回の施策により、先進国市場でオフライン部門とオンライン部門の連携を密にすることで、Wal-Martは価格設定や商品化についてより良い決断が下せるようになる、とOkamura氏はみている。「Wal-Martは、Amazonを主要競争相手の1つに定め、Amazonのendless aisles(「無限の通路」と呼ばれるオーダープロセス)と互角に渡り合うための知恵を徐々に習得しているようだ」。

小売業の市場調査・コンサルティングを手がける米Customer Growth Partnersの代表、Craig Johnson氏は、やや厳しい見方を示す。「今回の改革がAmazonとの競争においてプラスとなる可能性はある。しかし、Wal-Martは長期に渡って、eコマースに真剣に取り組んでこなかった。同社はeコマース部門で遅れを取っており、単純な人事異動では何も変わらないだろう。膨大なリソースを費やし、eコマースに傾倒する必要がある」。

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宗像 淳

著者プロフィール

起業家。福島-東大-米国Wharton校MBA。ソーシャルメディア/コマースのトップブランドZen Startupの代表。専門はベンチャー経営、マーケティング、Twitter、Facebook、Eコマースです。 http://www.facebook.com/ZenStartup

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